外から事実や刺激を受け取る際に感覚がどう機能しているのかを考察。
用語についてはユング心理学に寄っています。
1.感覚は刺激を受け取る
感覚は生理的刺激を知覚に仲介する機能である。
引用元:ユング心理学入門 河合 隼雄 著
感覚というのは、基本的に外の世界から情報などを受け取る際に、活躍する機能ですが、わかりにくいので別の言い方を考えてみましょう。
感覚とは、『一人一人違うレンズがついている双眼鏡』。
みんなで同じ物を見ても、双眼鏡のレンズが違えば、みんな目に入ってくる印象が変わりますよね。
歪んでいたり、色がついていたりと。
そういう現象が、実際は我々の内側で無意識に行われるわけです。
ユング心理学では、知覚を助ける機能として、感覚と直観の2つを挙げています。
感覚に優れている人は、直観がそれよりも劣る傾向があるようです。
感覚は、事実性の追求。
直観は、可能性の発見。
ここに1〜10までの刺激(情報など)があるとすれば、
感覚は、1〜10の全てを大事に受け取ります。
直観は、1を聞いて10を無意識に見出します。
2.感覚の違いは写生で如実に現れる
自分とは違う他人が、どのような感覚で周りの世界を見ているかを知りたい場合、同じ物を写生をすることでわかりやすい結果が得られるでしょう。
見たままを描く、つまり感覚だけを頼りに描くのが大事です。
描く際に感情や思考機能を補助として用いると、見たままの状態ではなく、味付けされた状態を表現することになります。
3.外向的感覚
外向的感覚型という枠に入るような人たちは、現実主義者で、客観的事実をそのまま素直に受け取って、自分達の中に積み上げていくことを得意としています。
また、感情機能と適当に結びついて、音楽や絵画の才能として現れたり、思考機能の助けを借りて、適確にして膨大な資料の蓄積を得意とする学者を生み出すことになる。
引用元:ユング心理学入門 河合 隼雄 著
つまり、感覚と感情や思考が結びつくことによって、活躍しやすい場がある程度定まりやすいということですね。
外向的感覚 + 感情 → 音楽や絵描きとして活躍
外向的感覚 + 思考 → データをまとめる学者、統計学者など
食事のシーンでも、口に入れた食べ物の味を素直に受け取ることができ、そこから分析することも可能なので、適切な食レポもできることでしょう。
現代社会を生きていく上では、仕事でも趣味の世界でも、良好な交友関係を築きやすく、比較的コミュニケーションで苦労することは少ないと思われます。
付き合いやすい人間ですね。
4.内向的感覚
内向的な人で共通して言えることは、基本的に外と積極的に関わるのを不得手としています。
外の世界には目を向けず、自分達の内側に意識を向けています。
さて、内向的感覚型の人は、外からやってきた情報などをそのまま受け取ることはせず、入ってきた衝撃をきっかけに、内側で心理的な変化が起きます。
その変化に注目して、どのように変移するのかを観察します。
外向的感覚型とは違い、活躍しやすい場も変わります。
内向的感覚 + 感情 → 奥深い芸術家
内向的感覚 + 思考 → 哲学者
周囲の人たちと気持ちを共有しようとしても、すぐには理解されず、円滑なコミュニケーションができない場合があります。
変わった人間と誤解されてしまうかもしれません。
5.外向的と内向的の違い
感覚型とはいえ、外向的と内向的とでは活躍しやすい領域が異なります。
芸術系を例に出すと、
外向的感覚型 → 写実系の画家
内向的感覚型 → 心に訴えかける芸術家
外向的感覚型は、外の刺激や情報をそのまま受け取ることができるので、そのまま描き出すこともできますし、データを蓄積して統計的に処理することも得意とすることができます。
内向的とは違い、あるがままを素直に受け取り、共有することができるので、友人関係を作るのが比較的得意でしょう。
内向的感覚型は、外の刺激や情報を受け取った瞬間、それをきっかけに内側で心理的な変化が巻き起こるので、受け取った情報に対して、より味わい深い気持ちを産むことができます。
外向的とは違い、あるがままを映し出す・描き出すといった素直な表現はそこまで得意ではないでしょう。
人からすぐに理解されるようなタイプではありませんが、深みがあります。
感想
外向的な性格だと、今現在に限定したコミュニケーションがうまくいきやすい傾向にあると思います。
対して内向的だと、今すぐ理解されるかどうかわからない境地に行きがちです。
参考図書